2025/05/14
~「自分だけの攻略本」を作ろう~
「ノート、ちゃんととっている?」
お子さんにそう声をかけたくなること、大人にそう言われたこと、ありませんか?
実際、保護者面談の際に「子どもにノートを見せてもらったら、ただ黒板を写しているだけだった」というお話をよく伺います。
実は、“ただ書いているだけのノート”と“成績につながるノート”には、大きな違いがあります。
私は生徒たちによくこう伝えています。
**「ノートは自分だけの攻略本なんだよ」**
攻略本には、ゲームをクリアするためのヒントやコツ、要点がぎゅっと詰まっていますよね。同じように、学校の授業や塾の学びを自分なりにまとめ、見返し、活かすことができれば、それは確かな「学力」につながっていきます。
今回は、「成績を伸ばすノート」にはどんな共通点があるのかを、塾の指導現場からの実例も交えてお伝えします。
ノートは「写すもの」じゃない。「使うもの」!
まずお伝えしたいのは、ノートは単なる“記録帳”ではないということです。
もちろん、黒板や先生の話を書き留めることは大切です。しかし、そこから何を学び取ったか、どんなことに気づいたか、それをどう整理したか、そうした“自分の思考の跡”が残っているノートは確実に力になります。
たとえば、授業中にただ板書を写しただけのノートは、後から見返しても「で、何が大事だった?」となってしまいます。一方で、成績が上がっている生徒のノートを見ると、「ここがポイント!」「この考え方が大事!」といった本人のメモが添えられていて、授業の中で得た“気づき”がきちんと残っています。
成績が伸びる子のノートは「見返しやすい」
次に注目してほしいのが、「ノートの見やすさ」です。
・色分けでポイントが目立つ
・余白がしっかり取られている
・図や表が丁寧に書かれている
こうした工夫があるノートは、テスト前の復習にも役立ちます。特に中学生・高校生は情報量が一気に増える時期であり、必要な情報を整理し、定着させるためには「見返して復習できる」ノート作りが欠かせません。
逆に、文字が詰め込まれていて何が重要かわからないノートは、見返す気力すら削がれてしまいます。また、丁寧に書くことが目的になっているノートや、自分の間違いをきれいさっぱり消して正しい答えだけを書くノートは、残念ながら「攻略本」にはなりません。
「間違い」こそが最高の学び
塾では、問題や模試を解いた後のノートの使い方も重視しています。
たとえば、ただ正解を写して終わりの生徒と、「なぜ間違えたのか」「次はどう解くべきか」を書いている生徒では、次のテストでの伸びがまったく違います。
間違いは悪いことではありません。むしろ、そこにこそ伸びしろ、つまり“最高の学び”があります。解説を写すだけではなく、そこに自分の言葉で「こう考えたらよかった」と記すことで、その問題は「自分のもの」になるのです。
これもまた、「攻略本づくり」の一部です。敵の特徴や弱点(=自分のつまずき)を記録しておくことで、次は同じミスをしない戦い方ができるのです。
テスト前に役立つ「まとめノート」
もう一つ、学力を伸ばしている生徒によく見られる習慣があります。それは、「まとめノート」や「暗記用ノート」を作っていることです。
日々の授業や問題演習の中で、自分が覚えるべき要点や苦手な部分を集約して1冊にまとめます。テスト前にこのノートを繰り返し見直すことで、効率よく復習ができ、知識も頭に残りやすくなります。
最初は少し手間に感じるかもしれませんが、まとめノートは作る過程そのものが“勉強”です。そして、自分の手で作った攻略本は、何よりも頼れる存在になります。
ノートの習慣が「情報処理力」を育てる
中学・高校・大学受験において、知識の習得はもちろんですが、それ以上に大切なのは「情報を整理し知識を活用する力」です。もはやどのカテゴリーの入試にも、一問一答のような暗記ものの出題はありません。その教科や科目ごとの知識があることが前提で、その知識を活用し自分で表現する力が試されます。
ノートを上手に活用する生徒は、自分の得意・不得意を把握し、自分に向けて「解説」を記すことができます。これは、どんな教材よりも強力な「武器」です。
パレットでは、こうしたノートの書き方・使い方の指導も日常的に行っています。「見せるため」のきれいなノートではなく、「力がつく」ノートへ。生徒一人ひとりの“攻略本”作りをサポートし、未来に向けて確かな力を育てていきます。
最後に
保護者の皆様へ
お子さんのノートを「きれいかどうか」ではなく、「活用されているか」という目線で、ぜひ一緒に見てみてください。そして、「このページ、どう使っているの?」と声をかけてみてください。きっと、そこにはその子なりの“考える力”が見えてくるはずです。
ノートは、「自分だけの攻略本」
それは、日々の積み重ねから生まれる、かけがえのない学びの軌跡です。