2025/08/07
〜模試の「偏差値」だけに振り回されないで!成績表の読み解き方〜
はじめに
模試は現在の学力を測るうえでとても有効なツールです。実際の入試形式に近い問題にチャレンジすることで、得意不得意の傾向を把握できたり、時間配分の感覚をつかんだりすることができます。
しかし、模試の成績表を見ると、ついつい「偏差値」や「判定」だけに目がいってしまう人が多いように思います。A判定なら嬉しいし、D判定やE判定なら落ち込んでしまうというように…。
今回は、模試の成績表を見る視点を少しだけ変えてみませんかというご提案です。
偏差値は「今この瞬間の位置」
はじめに、偏差値の正体について少しだけご説明します。
偏差値とは「その模試を受けた集団の中で、自分が今どれくらいの位置にいるか」を表す指標です。つまり、全国の受験生全体ではなく「その日・その模試を受けた生徒の中での相対的な順位」なのであり、「60だからすごい!」「45だからダメ」という話ではないのです。
たとえば、全体的に問題が難しい模試では平均点が下がります。すると、その模試で自分の得点が低くても、偏差値は高く出る可能性は十分あります。同じように逆のこともあります。また、模試によっては母集団の性質に違いがある模試もあります。
模試の偏差値は「絶対的な学力」ではなく、あくまでも「参考値」だということを覚えておいてください。
大事なのは「何ができて、何ができなかったか」
模試の成績表を見るときに、ぜひ注目してほしいのが「分野別の正答率」や「設問ごとの正答率」です。
数学「一次関数はほとんど正解できたけれど、図形の証明問題は手がつかなかった」
英語「語彙はできていたけれど、長文の読解はできていなかった」
このようにして見ると、自分の得意分野と苦手分野の傾向がはっきりと見えてきます。
模試を受ける最大の目的は、自分のできるところとできなかったところをあぶり出すことです。つまり、点数や偏差値が悪かったとしても「今後の勉強に何を取り入れるべきか」が明確になれば、その模試は大成功と言えるのです。
もう一つ大切なことがあります。それは、どの程度理解して回答したかということを振り返ることです。解答用紙に〇がついている問題でも、勘で回答したものはありませんか?勘違いしていたものはありませんか?×がついている問題は、本来ならできる問題だったということはないですか?
勘で解いたものは本当の実力ではありません。もちろん回答しないよりは回答したほうがいいです。しかし、それはたとえ〇がついたとしても本当に自分が理解して解いたものではないので、模試が終わったすぐ後や、成績表が返却された後にすぐ復習をするべきところなのです。それはつまり“自分と向き合うこと”ということです。
志望校判定は「未来をつくるヒント」
志望校判定は、模試の中でも特に気になる部分ですよね。A~Eまでの評価が出され、「こんなに悪かったら無理だ…」と落ち込んでしまう人も少なくありません。
しかし、志望校判定はあくまで「現時点でその学校に合格する可能性がどれくらいか」を示したものに過ぎません。部活や行事で忙しかった時期、まだ習っていない単元が多い時期など、人によって学習の進み具合には差があります。まだ本気を出していない人もたくさんいるはずです。
模試を受けるたびに偏差値や判定の上下に一喜一憂するのではなく、「なぜ下がったのか?」「次に上げるにはどうすればいいか?」という視点を持つことが大切です。
模試の成績表は“羅針盤”
「成績が悪かったから」と、模試の結果を見ずに放っておくのは非常にもったいないことです。模試の成績表は、今の位置を示す“地図”であり、今後の進むべき道を教えてくれる“羅針盤”のようなものなのです。
進路指導の場でも、私たちは模試の成績表を使って生徒さんや保護者の方と一緒に「今どこにいて」「何をすれば目標に近づくか」を確認していきます。
E判定は「そのときはE判定」というだけで、本番当日までにできることは山ほどあります。目標達成に向けてやるべきことをしっかり考え実行していきましょう。
偏差値よりも“伸びしろ”を見よう
模試の成績表で最も大切にしてほしいのは、「どこをどう伸ばせばいいか」ということです。偏差値が高かったからと安心せず、低かったからと自分を否定せず、成績表を“未来の自分をつくる資料”として活用していきましょう。
模試はもちろん、入試もゴールではありません。
今見えている数値からどのように伸ばしていくか、入学した先でどのように学ぶか、どのように未来の自分を育てるかということを念頭に置いてください。その過程で迷ったり悩んだりしたら、いつでもパレットに相談してくださいね。
おまけ
私自身、高校入試1ヶ月前に受けた模試の結果は志望校の合格率30%未満でした。あのときは笑いました。でも闘志がわいてきました。負けず嫌いなんです。
大丈夫、ちょっとしんどいけれどE判定だって大逆転のチャンスはつかめます。でも、できれば早めからコツコツ努力することをおすすめします。