本を読んでいるのに読めないのはなぜ?|読解力は量ではなく質で決まる

この記事を書いた人
中学・高校・大学受験にも強い塾【個別指導Palette】
塾長 佐藤 真由美
経歴
  • 大手個別指導塾の教室長を経て現在は個別指導Paletteの塾長
  • 戸部エリアで18年の指導経験。学習指導・進路指導は約20年

「子どもの読解力が落ちている」と言われて久しい昨今。
読書量の減少やスマホ・タブレットの影響など、さまざまな理由が挙げられています。

ただ、現場で子どもたちを見ていると、少し違う景色も見えます。

それは――
本を読んでいるのに、読めない子がいるということです。

実際に、読書習慣があるにもかかわらず、国語の文章問題が苦手な子は少なくありません。
なぜ、そんなことが起きるのでしょうか。


一番多いのは、
「わからない言葉を読み飛ばしている」ことです。

読めない漢字や意味のわからない言葉が出てきても、そのまま先に進んでしまう。
すると、文章の一部が抜け落ちたまま読み進めることになります。

その言葉が、実は場面の転換だったり、キーワードだったりすることもあります。
そこを理解しないままでは、当然、全体の意味も正しくつかめません。

また、物語文では
会話文だけを追って読んでしまう子も多く見られます。

会話だけでも、なんとなくストーリーを追えてしまうのは確かです。
しかし、それでは登場人物の心情や細かな変化、描写表現、筆者の意図までは読み取れません。

つまり、
「読んでいる」のではなく、
「追っているだけ」になってしまっているのです。


もう一つ、現場で感じる変化があります。

それは、
黙読のスピードが遅い子が増えているということです。

文章を目で追っているものの、
一文一文の処理に時間がかかり、読み終えるまでにかなりの時間を要します。
また、音読で一行読み飛ばしてしまうこともあります。

その背景の一つとして考えられるのが、情報の得る方法の変化です。

最近の子どもたちは、言葉をしっかりと発する前の段階から動画に触れ、
情報を動画で得ることが当たり前の環境で育っています。

わからないことがあれば、テキストではなく動画で検索し、それを見る。
説明も、文章より動画で理解しようとする。

もちろん、動画にも良さはあります。
直感的に理解しやすく、興味を引きやすいというメリットがあります。

しかし一方で、
自分で文章を読み、頭の中で処理する経験が不足しがちになるのも事実です。

本来、情報を得るスピードだけで考えれば、
動画よりもテキストのほうが速い場面は多くあります。

それにもかかわらず、
あえて時間のかかる動画に頼る習慣がついてしまうと、
文章を素早く処理する力はなかなか育ちません。

こうした積み重ねが、
黙読のスピードや読解力に影響している可能性もあると感じています。

大切なのは、「どれだけ読むか」ではなく、
「どう読むか」です。

わからない言葉に出会ったときに、そのままにするのか。
それとも立ち止まって調べるのか。

さらに、意味を理解しながら読めているか。

これらの違いは、とても大きな差になります。

読書量が必ずしも読解力に比例するとは限りません。


読書はもちろん大切です。
ただし、ただ読むだけでは十分とは言えません。

おすすめしたいのは、

  • わからない言葉が出てきたら、その場で調べる
  • 読書ノートをつける
  • あらすじや要点、感想を書く
  • 調べた言葉を書き留める

こうした積み重ねです。

特に大切なのは、

「わからない → 調べる」

この流れを習慣にすることです。

これを繰り返すことで、語彙力は確実に伸びていきます。

今は、スマホやタブレットですぐに調べることができます。
本来は辞書を引くのが理想ですが、まずは「調べる」という行動が何より大切です。


語彙力だけではなく、国語力全体も日常の中で育っていきます。

ことわざや慣用句、四字熟語などの知識も、
できれば小学校低学年のうちから触れておきたいところです。

こうした知識は、高学年や中学受験で大きく差が出る部分でもあります。

図書室にある本や教科書、新聞など、
身近にあるものから自然と身につけていくことができます。
ぜひ、日常の中でうまく活用してみてください。

そして、もう一つ大切なのが、
身につけたものをアウトプットすることです。

  • ニュースを見て、家族と意見を言い合う。
  • 日記を書く。
  • 本や新聞で読んだ表現をまねして文章を書く。

こうした日々の積み重ねが、結果として文章力につながっていきます。


国語力は、特別な勉強だけで伸びるものではありません。

むしろ、

  • わからない言葉をそのままにしない
  • 調べる
  • 書く
  • 考える

こうした日常の小さな習慣の積み重ねによって育っていきます。

そして、年齢が低いほど吸収力は高い。
だからこそ、早い段階からの積み重ねが大切です。


漫画の良さももちろんあります。
ストーリーを楽しむことや、読書への入り口としての役割も大切だと思います。実際、私自身も漫画は読んできました。

ただ、読解力という観点で考えると、漫画は絵で内容や心情が理解できてしまう分、どうしても文章を読み飛ばしやすくなります。
そのため、「読む力」を鍛えるという意味では、限界があるのも事実です。

とはいえ、活字をどうしても読みたがらない子にとっては、最初の一歩として漫画から入るのは一つの方法です。
そこから少しずつ、文章の多い本へと移行していくことも大切だと考えています。

もう一つ、現実的な視点としてお伝えしておきたいのは、
小学校・中学校・高校・大学、どの試験においても、漫画形式の出題はほとんどないということです。
あったとしても一般的ではなく、特に公立の学校のテストや入試ではまず見かけません。

つまり、最終的に必要になるのは、
文章を読んで理解する力です。

漫画そのものを否定するつもりはありません。素晴らしい作品がたくさんあります。
ただ、国語力を育てるという目的で考えたときには、
やはり活字に触れる経験が欠かせないと考えています。


読解力は、「読む量」ではなく「読み方」で決まります。

そして、その土台をつくるのは、
日々のちょっとした積み重ねです。

ぜひ、ご家庭でも
「わからない言葉を調べること」から始めてみてください。

その積み重ねが、
やがて読解力の差としてはっきり表れてきます。

👉 次回は、「主語と述語をとらえる力」について、具体的にお話しします。

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