「誰が、どうした」をつかめない

この記事を書いた人
中学・高校・大学受験にも強い塾【個別指導Palette】
塾長 佐藤 真由美
経歴
  • 大手個別指導塾の教室長を経て現在は個別指導Paletteの塾長
  • 戸部エリアで18年の指導経験。学習指導・進路指導は約20年

― 文章を読む力は、ここで差がつく ―

前回のコラムでは、

「本を読んでいるのに、読めない子がいる」

というお話を書きました。

わからない言葉を読み飛ばしてしまう。
会話文だけを追ってしまう。
動画中心の情報収集によって、黙読の力が育ちにくくなっている。

そうした背景について触れましたが、今回はその続きとして、

「主語と述語をとらえる力」

についてお話ししたいと思います。

実際に授業をしていると、文章を読めていない子の多くが、「誰の話なのか」を曖昧なまま読んでいることがあります。

漢字が読めないわけではない。
文章をまったく読んでいないわけでもない。

それでも内容が頭に入ってこない。

その原因の一つが、主語と述語の関係を整理できていないことにあります。

文章は、

「誰がどうしたのか」
「何がどんな状態なのか」
「誰・何なのか」
「何があるのか」

こうした関係で成り立っています。

たとえば、

  • 「太郎が走った」
    → 誰が、どうしたのか
  • 「空が青い」
    → 何が、どんな状態なのか
  • 「父は医者だ」
    → 誰が、何なのか
  • 「先生がいる」
    → 誰が、いるのか
  • 「消しゴムがある」
    → 何が、あるのか

私たちは普段、無意識にこうした関係を整理しながら文章を読んでいます。

ところが、読み飛ばしが多い子は、ここをあまり意識しないまま読み進めてしまうことがあります。

すると、

「誰の行動なのか」
「何について説明しているのか」

が曖昧になり、文章の意味を正しく理解できなくなってしまうのです。

特に説明文では、主語が省略されていたり、前の文を受けていたりすることも少なくありません。

そのため、「今、何について説明しているのか」を整理しながら読めるかどうかで、理解度は大きく変わってきます。

では、なぜ主語と述語をとらえられない子が増えているのでしょうか。

その一つとして感じるのが、日常のコミュニケーションの変化です。

最近の子どもたちは、LINEのようなチャットでやり取りする機会が多く、主語を省略した短い会話に慣れています。

そのため、主語を省略したまま会話する子も少なくありません。

たとえば、

「いいね」
「無理」
「あとで行くよ」
「来週温泉行くらしい」

こうした会話は、その場ではなんとなく成立します。

しかし、実際には、

「誰が?」
「誰の話?」

と確認しなければ意味がわからない場面も多くあります。

それでも会話が成立してしまうのは、その場の状況や表情、空気感で補えているからです。

ただ、文章はそうはいきません。

文章は、書かれている言葉だけを頼りに、その意味を理解しなければならないからです。

「誰が」「何をしたのか」
「何について説明しているのか」

そこを意識しながら読まないと、内容を正しく理解することはできません。

ところが、普段から主語を省略した会話に慣れている子ほど、文章を読むときにもそこを意識しないまま読み進めてしまうことがあります。

授業をしていても、

「それ、誰のこと?」

と聞き返す場面は少なくありません。

たとえば、物語文で、

「太郎は黙ってうつむいた。
その様子を見て、健一は少し不安になった。」

という文章があったとします。

このとき、

「不安になったのは誰?」

と聞くと、意外と間違える子がいます。

文章を読めていないわけではありません。
漢字も読めています。

ただ、

“主語を整理しながら読む”

ということができていないのです。

その結果、文章全体の理解が少しずつずれていってしまいます。

この力は、もちろん国語だけで必要なものではありません。

算数や数学の文章問題でも、

「何を求める問題なのか」
「何がわかっていて、何が足りないのか」

を整理しながら読む必要があります。

たとえば、

「Aさんは毎分80mで歩き、Bさんは毎分60mで歩きます。」

という問題でも、

「誰が速いのか」
「何を比べているのか」

を正しく読み取れなければ、式を立てることはできません。

文章問題が苦手な子の中には、計算以前に、

“問題文の整理・理解”

の段階でつまずいている子が非常に多いのです。

つまり、読解力は国語だけの力ではなく、すべての教科の土台になっています。

情報を整理する力は、ノートづくりにもつながっています。
以前のコラムで「自分だけの“攻略本”をつくる」という視点から、ノートの取り方についてお話ししました。

保護者面談でもよくお話しするのですが、親子の会話でも主語と述語を意識することはとても大切です。

もちろん、未就学のうちはそこまで気にしなくても大丈夫です。
ただ、小学校に上がったら、

「誰が、どうしたのか」

を言葉にする習慣を少しずつつけていきたいところです。

たとえば、

「行った」ではなく、
「○○ちゃんが行った」

「片付けた」ではなく、
「私が片付けた」

と、主語を補って話すだけでも変わってきます。

こうした日常の積み重ねが、文章を正しく読む力につながっていきます。

読解力というと、「たくさん本を読むこと」が注目されがちです。
もちろん、読書はとても大切です。

ただ、本当に重要なのは、

“文章をどう読んでいるか”

だと感じています。

誰が、何を、どうしたのか。

そこを整理しながら読む力は、一朝一夕で身につくものではありません。
読解力は、特別なテクニックだけで伸びるものではないのです。

「誰が、どうしたのか」を整理しながら読む。

そんな日々の小さな積み重ねが、やがて大きな差になっていきます。

個別指導Paletteでは、
国語だけではなく、数学や英語にもつながる「読む力」を大切にしています。
文章を整理しながら読む力を身につけたい方は、ぜひ無料体験授業でご相談ください。

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