夏休みまで、もう少し。
多くの人にとって、夏休みは一年の中で最もまとまった勉強時間を確保できる期間です。
「夏休みになったら頑張ろう。」
「時間がたくさんあるから、苦手を克服しよう。」
そんなふうに考えている人もいるかもしれません。
もちろん、その気持ちはとても大切です。
しかし、毎年たくさんの生徒たちを見ていて感じることがあります。
夏休みに大きく成績を伸ばす子は、夏休みが始まってから動き出すのではありません。
始まる前から、「この夏に何をできるようになりたいか」を考えています。
だから私は思います。
夏休みは、始まる前に決まる。
成績が伸びる子は、自分の弱点と向き合う
長年指導をしていると、成績が伸びていく子には共通点があります。
それは、自分のできなかったことから目をそらさないことです。
「この問題が解けなかった。」
「この解き方がやっぱり理解できていない。」
「まさかここで間違うなんて。」
そんなふうに、自分の弱点を受け止め、一つひとつできるようにしていきます。
一方で、なかなか成績が伸びない子は、できなかった問題を見返さなかったり、「今回はたまたま間違っただけ」「どうせ自分にはできない」と気持ちを閉じてしまったりすることがあります。
できなかったことを見るのは、誰でも気持ちのいいものではありません。
それでも、その一歩を踏み出せるかどうかが、大きな差につながっていくのだと思います。
以前、「伸びる人の共通点」というコラムでも書きましたが、成績が伸びる生徒には共通する考え方があります。今回の内容とあわせて読んでいただくと、より理解が深まると思います。
「間違えること」を怖がらなくていい
授業中にも、こんな場面をよく見かけます。
問題を解く前から、
「今日は疲れていて……。」
「宿題をやったとき、眠かったから……。」
そんなふうに、先に言い訳をする子がいます。
私は、
「うん、わかった。じゃあ、今から少しやってみよう。」
そう声をかけます。
すると、その子は少しずつ前かがみになります。
ノートを隠すように手を置いたり、髪の長い子なら髪の毛で顔とノートを隠したり。
「そんなに前にかがんだら、顔とノートがくっついてしまうんじゃないかな。」
そう思うくらい、小さくなってしまう子もいます。
表情が直接見えなくても、全部見えています。
「間違えたくない。」
「できないと思われたくない。」
きっと、そんな気持ちなのでしょう。
私はそんな姿を見るたびに、心の中で思います。
「先生、わかっちゃってごめんね。」
その子が言い訳をすることも、前かがみになることも、ノートを隠す手も、髪の毛も、その子なりの精一杯の意思表示です。
だから私は、すぐに
「そんなことしてないで。」
とは言いません。
少しだけ待ちます。
1~2分すると、その子はそっと顔を上げて、こちらを見ます。
私は笑って言います。
「さあ、一緒にやろうか。」
「できなくても大丈夫。」
「どこまでできるかは、先生はだいたいわかっているから。」
「わからないところは全部教えるから。」
塾は、間違ってもいい場所です。
間違えたところを見つけて、できるようにするための場所です。
だから、間違えることは恥ずかしいことではありません。
今できない自分も、自分です。
でも、復習や練習を積み重ねて、できるようになった自分もまた自分です。
どんな自分でも、まずは自分自身が受け止めてあげてほしい。
できない自分を認めることは、成長への第一歩なのです。
夏休みが始まる前に決めておきたいこと
夏休みの勉強というと、「いつ勉強するか」「何時間勉強するか」を考える人が多いかもしれません。
しかし、それよりも先に決めてほしいことがあります。
この夏に、自分は何をできるようになりたいのか。
目標は、できるだけ具体的にしてみてください。
例えば、
- 小数のかけ算・わり算を正確にできるようになりたい。
- 一次関数の変域や直線の式を求められるようになりたい。
- 英語の不定詞をしっかり理解したい。
- 英検2級に合格したい。
「数学を頑張る」「英語を勉強する」では、少し曖昧です。
具体的な目標が決まれば、何を勉強すればいいのかが自然と見えてきます。
夏休みにぜひ取り組んでほしい勉強
この夏、ぜひ取り組んでほしいことがあります。
それは、これまで受けたテストや模試の解き直しです。
普段は学校の授業や宿題、新しい単元の学習に追われ、なかなか時間が取れません。
だからこそ、まとまった時間のある夏休みは絶好の機会です。
もう一度解いてみると、「理解したつもりだった問題」が意外と解けなかったり、「ケアレスミスだと思っていた問題」が実は理解不足だったことに気づいたりします。
逆に、以前は苦手だった問題が解けるようになっていれば、自分の成長も実感できます。
解き直しは、「できるつもり」と「本当にできる」の違いを教えてくれます。
そして、そこでできなかったところから復習を始めることが、実は一番効率のよい勉強になることも少なくありません。
夏休みに復習する内容に迷ったら、以前書いた「夏休みは復習の最後のチャンス」のコラムも参考にしてみてください。学年ごとに、この時期に復習しておきたい内容をまとめています。
この夏を、意味のある夏にするために
夏休みは長いようで、あっという間です。
だからこそ、「夏休みに入ってから考えよう」ではなく、「夏休みが始まる前に決めておこう」という意識が大切です。
自分は何が得意で、何が苦手なのか。
この夏、何をできるようになりたいのか。
その目標がはっきりすれば、一日一日の勉強にも意味が生まれます。
この夏が終わったとき、「“できる”が大きな自信になった」と言えるように。
まずは、自分の弱点と向き合うことから始めてみてください。
その小さな一歩が、夏休みを大きく変えてくれるはずです。
夏休みは、始まってから変わるものではありません。
始まる前の気持ちが、その夏を決めるのだと、私は思っています。
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