勉強するとき、つい得意科目ばかり選んでしまうことはありませんか。
得意科目は問題が解けるので、どんどん先に進めます。正解する喜びや達成感も味わいやすく、勉強すること自体が楽しく感じられるでしょう。
「好きこそ物の上手なれ」という言葉のとおり、好きだからこそ積極的に取り組み、さらに得意になっていくこともあります。
一方、苦手科目はどうでしょうか。
勉強を始めるまでに気合いが必要だったり、問題を開いた途端に「わからない」という壁にぶつかったり。気がつけば、取り組みやすい得意科目ばかりに時間を使ってしまうこともあるでしょう。
しかし、苦手科目を克服するためには、まずその科目に向き合う時間をつくることが必要です。
「苦手」という思い込みが壁になることも
「数学は苦手だから、どうせ解けない」
「英語は嫌いだから、英文を見るのも嫌」
そんな気持ちが先に立ってしまうと、本当は理解できる内容まで難しく感じてしまうことがあります。
実際、個別指導Paletteでも、苦手だと思っていた問題を一緒に解いてみると、意外とすんなり理解できる生徒は珍しくありません。
苦手だと思っていた原因が、実はほんの一部分の理解不足だったということもあります。
例えば、数学が苦手だったある生徒。学習の様子を見ていくと、計算そのものだけでなく、途中式の書き方がわからないことが大きなつまずきになっていました。
そこで、式の書き方を一つひとつ説明し、今度は自分で書いてもらい、その過程を確認することを繰り返しました。
符号のミスが完全になくなったわけではありません。しかし、少しずつ計算の手順が身につき、高校受験では計算問題でほぼ満点を取れるまでになりました。
「数学が苦手」という一言の裏側には、具体的なつまずきが隠れていることがあります。
大切なのは、何がわからないのかを見つけることです。
生徒のつまずきを見つけることの大切さについては、「生徒の『わからない』を見つける個別指導」でも紹介しています。
小さな「できる」が苦手意識を変えていく
苦手科目に取り組むとき、いきなり難しい問題に挑戦しても、なかなか達成感は得られません。
だからこそ、スモールステップで学習を進めることが大切です。
春期講習で逆算の学習に取り組んだ生徒がいました。
最初は逆算がうまくできませんでしたが、4〜5回の授業で解き方を一つずつ確認し、練習を重ねたところ、少しずつ自分の力で解けるようになりました。
現在は正答率も8割近くになり、以前ほど苦手意識を持たずに問題に向き合えています。
もちろん、まだ十分に定着したとは言えないため、練習は続けています。
一度解けたからといって、すぐに身についたとは限りません。
「わかった」を「できる」に変え、さらに「自分の力で安定して解ける」ようになるまで、繰り返し確認することが大切です。
その過程で小さな達成感を積み重ねることが、次の問題に取り組む意欲にもつながっていきます。
逆算の学習で見られた生徒の変化については、以前のコラム「『逆算ができない』から『できた!』へ」でも紹介しています。
「自分にもできる」という自信を育てる
苦手意識を変えるうえでは、学習方法だけでなく、気持ちの変化も重要です。
中学1年生の頃、英文を見ることさえ嫌がっていた生徒がいました。
しかし、中学3年生になり、高校進学を意識するようになったことで、自分から英語に向き合い始めました。
この生徒は暗記が得意なタイプではありませんが、仕組みを理解することで力を発揮する生徒です。
そこで、文法をただ覚えさせるのではなく、納得できるまで説明したり、時制を数直線のように図で表したりしながら、理解を深めていきました。
すると、少しずつ英語がわかるようになり、学習することにも楽しさを感じ始めたようです。
自信がついてきた今は、英検3級にとどまらず、さらに上の級にも挑戦してみようと話すまでになりました。
この変化には、本人が「やってみよう」と気持ちを切り替えたことが大きく関わっています。
そして、実際に理解できる経験を重ねたことが、その気持ちを支えているのだと思います。
苦手科目に向き合うときには、「自分にもできる」という感覚を持てることが大切です。
しかし、苦手意識の強い生徒ほど、自分の成長に気づきにくいこともあります。
そんなとき、周囲の大人が「前はできなかったことが、今日はできるようになったね」と具体的に伝えることには意味があります。
ただ褒めるのではなく、どこができるようになったのか、どんな工夫ができたのかを本人にも認識してもらう。
自分では気づかなかった成長を認めてもらう経験が、次の一歩を踏み出す自信につながることもあるでしょう。
中学英語でつまずきやすいポイントについては、「なぜ中1英語は急に難しく感じるのか」でも解説しています。
苦手科目に取り組む時間を確保する
得意科目を勉強することは、決して悪いことではありません。
得意なことをさらに伸ばすことも大切ですし、受験では得意科目が大きな武器になることもあります。
しかし、得意科目ばかりに時間を使っていると、苦手科目に取り組む機会が少なくなってしまいます。
大切なのは、自分の学習状況や目標に合わせて、科目ごとの学習時間を考えることです。
苦手科目については、勉強を始めるための環境を整えることも必要です。
例えば、取り組む曜日や時間をあらかじめ決めておく。自宅では後回しにしてしまうのであれば、塾の授業などを活用して、苦手科目に向き合う時間を確保するのも一つの方法です。
もちろん、ただ机に向かっていればよいわけではありません。
何がわからないのかを確認し、今の自分に必要な学習に取り組むことが大切です。
苦手なままでも、一歩ずつ前へ
苦手科目を勉強したからといって、すぐに得意科目になるわけではありません。
また、すべての科目を好きになる必要もないでしょう。
それでも、以前は解けなかった問題が解けるようになったり、見るのも嫌だった教科書を自分から開くようになったり。
そんな小さな変化も、大切な成長です。
得意科目を伸ばしながら、苦手科目にも必要な時間を確保すること。
そして、ただ長く勉強するのではなく、一つひとつの「できる」を確実に積み重ねること。
「苦手だからやらない」から「苦手だけれど、やってみよう」へ。
その一歩が、学力だけでなく、自分自身への自信を育てるきっかけになるのではないでしょうか。
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