「はやい=すごい」と思っていませんか?

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この記事を書いた人
中学・高校・大学受験にも強い塾【個別指導Palette】
塾長 佐藤 真由美
経歴
  • 大手個別指導塾の教室長を経て現在は個別指導Paletteの塾長
  • 戸部エリアで18年の指導経験。学習指導・進路指導は約20年
途中式や筆算を残しながら学習するノートの様子

「途中式を書こうね。」

授業で何度も言う言葉です。
ただ、“ノートをきれいに書きましょう”と言いたいわけではありません。

以前、「書くこと」の大切さについてのコラムを書きました。

今回はもう少し踏み込んだ話をします。

私は長年の経験から、「はやく」やろうとするあまり、雑に取り組んでしまう子は、成績アップのチャンスを逃していることが多いと感じています。

もちろん、字が上手かどうかの話ではありません。

大事なのは、“丁寧に、集中して取り組んでいるか”です。

「はやい=すごい」ではない

子どもたちの中には「早い・速い=すごい」と思っている子がいます。

「宿題を早く終わらせることがいいこと」
「速く解くのがすごいこと」

中でも、特にそう思われがちなのが計算です。

「筆算しようね。」

これも授業中に繰り返し言うことです。

そろばんで暗算の段を持っているような子なら別ですが、そうではないなら、ほとんどの場合、暗算より筆算のほうが速くて正確です。

それなのに、筆算を書かず、暗算にこだわる子は意外と多い。

筆算のほうが速いのに、時間をかけて暗算をする。
しかも、時間をかけたわりに間違える。

さらに、その間違えた過程が何も残っていない。

だから見直しもできず、もう一度筆算をすることになり、時間と手間を費やすことになります。

計算で一番大事なのは、速さではありません。

正確さです。

速さは、その次なのです。

ノートは“作品”ではなく“攻略本”

私はよく、「ノートは自分の攻略本だよ」と話します。

自分を助けるためのものです。

どこで間違えたのか。
なぜ間違えたのか。
どう考えたのか。

それが残っていなければ、復習もできません。

勉強が苦手な子ほど、答えだけが並んだ“きれいなノート”を作りがちです。

しかし、それではあとから見返しても、自分が何を考えていたのかわかりません。

逆に、成績が伸びる子は、「答えを導く過程」を残しています。

筆算も、途中式も、考えた過程も残す。

だから、間違えても修正できます。

また、そうやって「考えた過程」を残せる子は、問題に向き合う時間も長くなります。

結果として、集中力も高くなっていくのです。

「ノートの使い方」については、以前こちらのコラムでも詳しく書きました。

「自分だけの攻略本を作ろう」

もしまだ読んでいない方は、ぜひあわせて読んでみてください。

“丁寧さの方向”を間違えてしまう子

私がもう一つ気になるのは、「丁寧さの方向」がズレている子です。

作図でもないのに定規を使って線を引く。
筆算するたびに定規で線を引く。
1マス1文字を守りすぎる一方で、分数だけは1マスに分母と分子を窮屈に押し込めて書く。

そういう子は、丁寧にやろうとしていること自体は確かです。

しかし、“見た目”に意識が向きすぎていることがあります。
もちろん、丁寧に書こうとすること自体は悪いことではありません。

ただ、大事なのは「何に集中しているか」です。

定規できれいに線を引くことに集中しすぎて、肝心の計算ミスが増えてしまっては意味がありません。

本来、丁寧さとは、「自分がミスをしないための丁寧さ」であるべきです。

位をそろえて書く。
分数を大きく書く。
見直ししやすいようにスペースを空けて書く。

大事なのは、「同じ間違いを繰り返さない」ために、自分が読み返せる形で残すことです。

そして、勉強の内容そのものに集中することです。

分数でミスが多いなら、分母も分子も1マスずつ使って大きく書けばいい。
しかし、なかなか変えられない。
今までのやり方で困っているのに、やり方を修正できない。

これは、勉強において大きな壁になることがあります。

逆に、伸びる子は柔軟です。
「まず言われた通りにやってみる」ができる。

もちろん、自分なりのやり方を持つことは大切です。

ただ、そのやり方で結果が出ていないなら、一度方法を変えてみる必要があります。

スポーツでも、フォームやトレーニング方法を修正した瞬間に伸びる選手がいます。

勉強も同じです。

“読みやすい字”を書くことの大切さ

また、字の丁寧さも成績と無関係ではありません。

「東大生だって読みにくい字を書く人はいる」という話をすると、「じゃあ字は関係ないんですね」と言われることがあります。

しかし、それは少し違います。

トップレベルの学力がある子は、自分で自分の困りごとを解決できます。
また、人に見せる必要がある場合でも、字の丁寧さより、内容で評価されることがあります。

ただ、多くの子にとっては、字の丁寧さは大事です。

特に中学生になると、提出物の比重がとても大きくなります。

そして、提出物や答案用紙を見るのは“人”です。

学校の先生です。

私は、字が読みにくい子によくこう話します。

「私はあなたが頑張っていることを知っている。字が上手・下手は関係ない。でも、答案用紙や提出物を見るのは私じゃない。学校の先生たちなんだよ。だから、誰が見ても読みやすい字を書こうと言っているんだよ。」

特に中学校は教科担当制です。
多くの先生が、その子の答案用紙や提出物を見ることになります。

※最近はAI採点やデジタル処理を導入する学校も増えていますが、それでも最終的に“人が読む”場面は多く残っています。

字が上手である必要はありません。

しかし、“読みやすい字”を書くことは大切です。

“体育カード”が教えてくれること

近隣の中学校には、「体育カード」という提出物があります。
体育の授業内容について、ルールや注意点、考察や感想を書くレポートです。

実技では活躍している生徒でも、この体育カードを丁寧に書けず、成績「5」を逃すことがあります。
逆に、実技はトップレベルではなくても、体育カードを丁寧に書き、内容もしっかり仕上げる生徒が高評価を取ることもあります。

成績(内申)は、テストの点数だけで決まるわけではありません。

だからこそ私は、「丁寧に取り組む」ということを大事にしています。

勉強は、“自分を助ける形”で積み重ねるもの

勉強は、“とにかく速く・早く”やるものではありません。

正確に、丁寧に、集中して積み重ねていくものです。

途中式を書くことも。
筆算を残すことも。
読みやすい字を書くことも。

それが全部、「自分の成長を助ける」ことになります。

そして、その積み重ねが、最終的には成績の差になっていくのだと思います。


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