問題文を読んでもわからない?|「読む」と「理解する」は同じではない

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この記事を書いた人
中学・高校・大学受験にも強い塾【個別指導Palette】
塾長 佐藤 真由美
経歴
  • 大手個別指導塾の教室長を経て現在は個別指導Paletteの塾長
  • 戸部エリアで18年の指導経験。学習指導・進路指導は約20年
問題文を読んでも意味がわからず、考えながら問題用紙を読む高校生

授業をしていると、「問題文をよく読んでね」と声をかけることがよくあります。

一度自分で問題を読んで答えを書いたけれど、間違っている。

そこで、

「もう一度、問題文をよく読んでみようか」

と声をかけます。

もう一度問題文を読んで、答えを書き直す。

それでも、最初と同じような間違いをしてしまうことがあります。

こういうとき、生徒たちは問題文を読んでいないわけではありません。

目では文字を追っています。

しかし、書かれていることの意味を理解しながら読んでいるかというと、そうではないことがあります。

「問題文を読む」と「問題文を理解する」は、同じではないのだと思います。

「よく読む」は、もう一度文字を追うことではない

「問題文をよく読んで」と言われると、最初からもう一度読み直す。

それ自体は間違っていません。

しかし、最初に意味を理解せずに文字だけを追っていたのであれば、同じ読み方でもう一度読んでも、なかなか答えは変わりません。

何について書かれているのか。

何を聞かれているのか。

どの情報が必要なのか。

どのような形で答えるのか。

そうしたことを考えながら読む必要があります。

文章の中で「誰が、どうしたのか」を整理しながら読むことについては、以前の「誰が、どうした」をつかめないというコラムでも取り上げました。

また、問題文を最後まで読まずに答え始めてしまう生徒も、しばしば見かけます。

途中まで読んで、

「あ、わかった」

と答えを書き始める。

私はそんな様子を見るたびに、「クイズ番組の早押しじゃないんだから」と心の中で苦笑いをします。

問題文には、最後まで大切なことが書かれています。

「記号で答えなさい」

「二つ選びなさい」

「理由も書きなさい」

「本文中の言葉を使って答えなさい」

こうした指示まで読まなければ、「何を、どのように答えるのか」を正しく理解することはできません。

途中で「わかった」と思っても、そこで読むのをやめず、まずは最後まで読むことが大切です。

「きせつをあらわすことば」と答えた小学生

以前、小学校低学年の生徒が国語の問題を解いていたときのことです。

その生徒は、教科書とは別の文章を使った、少し難しい問題に取り組んでいました。

ある俳句について、「この俳句の中から季節を表す言葉を答えなさい」という問題がありました。

その生徒が書いた答えは、

「きせつをあらわすことば」

でした。

さらに、「この俳句」がどれを指しているのかもわからない様子で、本文の中を一生懸命探しています。

「この」という言葉が何を指しているのかわからなかったのか、「俳句」という言葉自体がわからなかったのか、それとも文全体の意味をつかめなかったのか。

まだ語彙の少ない低学年の生徒ですから、本人も「自分が何をわかっていないのか」をうまく説明できません。

そこで、私が問題にある俳句を読んで、

「これはどの季節の俳句だと思う?」

と聞いてみました。

すると、

「夏」

と答えます。

「どうして夏だと思ったの?」

と聞くと、

「かえるって書いてあるから」

と答えました。

つまり、「かえる」から夏という季節を連想することはできています。

※本来「かえる」は春の季語です。生徒にも解説をしました。

本文には「季節を表す言葉」についての説明もきちんと書かれていました。

それでも、その説明を意味として理解しながら読めていなかったのでしょう。

一つひとつを見ればわかっていることが、文章の中に入ると意味としてまとまらない。

子どもたちを指導していると、こうした「読んでいるけれど、理解できていない」場面に出会うことがあります。

以前、「本を読んでいるのに読めないのはなぜ?」というコラムでも、「読んでいる」のではなく「追っているだけ」になっている子どもたちについて書きました。

高校数学でも同じことが起きる

こうしたことは、小学生だけに起こるわけではありません。

高校生の数学を指導していても、同じような場面があります。

数学Aの「場合の数と確率」が苦手だという生徒に多いのが、公式以前に、問題文に書かれている状況を理解できていないケースです。

たとえば、

「5人の中から、委員長・副委員長・書記を1人ずつ選ぶ」

という問題があったとします。

この文章を読んだとき、

5人の人がいる。

役職は委員長、副委員長、書記の3つ。

それぞれの役職に1人ずつ選ぶ。

という場面を頭の中に思い浮かべることができれば、その先の考え方につながります。

ところが、問題文を文字として追っているだけだと、そもそも何が起こっている問題なのかが見えてきません。

「Pを使うの? Cを使うの?」

というところで止まってしまいます。

以前、「PとCを覚えたのに解けない?」というコラムでも書きましたが、公式を覚える前に、まず問題がどのような場面なのかを理解することが必要です。

問題文から条件を一つずつ取り出し、それを整理し、頭の中で状況をつくる。

数学の文章題を解くためにも、「読む力」は必要です。

「聞かれたことに答えるんだよ」

私は生徒に、

「聞かれたことに答えるんだよ」

とよく言います。

自分が答えたいことや思いついたことを書くのではなく、まず「何を聞かれているのか」を考える。

もちろん、問題文をうまく理解できない生徒に、この一言だけで伝わるわけではありません。

それでも、何を問われているのかを理解することは、自分で考えるためのスタート地点です。

どれだけ知識を持っていても、問いがわからなければ、その中から何を使えばいいのかを判断することはできません。

面接でも「聞かれたことに答える」

これは、学校の勉強だけの話でもありません。

受験の面接指導でも、私は同じことを伝えています。

面接の練習をしていると、質問に対して、自分が準備してきた内容を一生懸命話そうとすることがあります。

覚えてきたことをきちんと言えた。

たくさん話せた。

だからうまく答えられたように感じる。

しかし、面接官が聞いたことへの答えになっていなければ、どれだけ立派な内容を話しても十分な回答とは言えません。

まず相手の質問を聞く。

何を聞かれているのかを理解する。

そのうえで、自分の考えを答える。

小学生が国語の問題を解くときも、高校生が数学の文章題を解くときも、受験生が面接を受けるときも、根本にあるものは意外と同じなのだと思います。

「問題文をよく読んで」で終わらせない

では、問題文を理解できていない生徒に、どう声をかければよいのでしょうか。

私は、すぐに答えや解き方を教えるのではなく、

「この問題は何を聞いている?」

「いくつ答えるの?」

「記号で答える? 言葉で答える?」

「わからない言葉はある?」

「これはどんな場面?」

など、一つずつ問いかけることがあります。

最初からすべてを自分で整理するのが難しければ、一緒に問題文を分解していきます。

そうすると、「あ、ここに書いてある」と気づくことがあります。

大切なのは、そのやり取りをいつまでも先生と一緒にすることではありません。

最終的には、

「何を聞かれている?」

「どんな条件がある?」

「わからない言葉はない?」

と、自分自身に問いかけながら読めるようになることです。

文字を「読む」から、意味を「理解する」へ

問題文を読むことは、ただ文字を目で追うことではありません。

書かれている言葉の意味を考え、どのような場面なのかを想像し、与えられた情報を整理し、何を問われているのかを理解する。

そこまでできて、初めて問題を解くための準備が整います。

「問題文をよく読んでね」

私自身、これからもきっと何度も生徒に言うと思います。

ただ、「よく読むって、どういうことだろう」というところまで一緒に考える必要がある生徒もいます。

何度読んでもわからないときは、読む回数が足りないとは限りません。

文字を追うところから、意味を理解するところへ。

そして、

「この問題では、何を聞かれているんだろう」

と自分で立ち止まって考えられるようになること。

それが、教科を問わず問題を解くために必要な「読む力」の一つなのだと思います。


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