「英単語、覚えてきた?」
「はい」
「どうやって覚えた?」
「単語帳を見ました」
授業をしていると、こんなやり取りをすることがあります。
もちろん、単語帳を見ることは勉強です。しかし、何度も見たからといって、本当に覚えたとは限りません。
何も見ずに書いてみたら、意外と書けない単語があるかもしれません。
ノートをきれいにまとめた。
教科書の大事なところにマーカーを引いた。
問題集を最後までやった。
これらもすべて勉強です。
しかし、大切なのは「何をやったか」だけではなく、その結果、何ができるようになったのかではないでしょうか。
以前のコラム「“わかったつもり”を、見逃さない」では、授業中の「わかりました」をそのまま受け取るのではなく、本当に理解できているかを確かめることについて書きました。
今回はそこからもう一歩進んで、「勉強したつもり」で終わらせず、自分自身で「できる」を確かめる勉強法について考えてみたいと思います。
勉強した=できるようになった、ではない
勉強時間をしっかり取っているのに、なかなかテストの点数につながらない。
そんなときには、勉強の「量」だけではなく、「やり方」も振り返ってみてください。
たとえば、ノートをとてもきれいにまとめる生徒がいます。
色を使い分け、教科書の内容を丁寧に書き写し、見た目はとてもきれいです。
しかし、ノートを作ることそのものが目的になってしまうと、時間をかけたわりに内容が頭に入っていないことがあります。
マーカーも同じです。
大事なところに線を引くのはよいのですが、「ここも大事」「これも大事」と引いているうちに、ページのほとんどに色がついてしまうことがあります。
あとから見たときに、どこが本当に大事なのかわかりません。
問題集も、最後のページまで終わらせれば勉強が完了するわけではありません。
問題を解いて丸つけをしたあと、間違えた問題をどうしていますか。
正しい答えを書いて、それで終わりにしていませんか。
個別指導Paletteでは、
「間違い直しまでが勉強だよ」
と伝えています。
勉強した時間やページ数だけではなく、
「できなかったことが、できるようになったか」
そこまで確認することが大切です。
単元ごとならできるのに、テストになるとできないのはなぜ?
英語では、特にこの違いを感じます。
「不定詞」の単元を勉強しているときには、不定詞の問題が解ける。
「動名詞」なら動名詞、「現在完了」なら現在完了、「関係代名詞」なら関係代名詞の問題が解ける。
ところが、さまざまな文法が混ざった総合問題になると、途端にできなくなることがあります。
定期テストや模試、入試の過去問では、
「これは現在完了の問題です」
「ここでは不定詞を使いましょう」
とは教えてくれません。
英文や問題を見て、どの文法や構文を使うのか、自分で判断する必要があります。
否定文や疑問文も同じです。
単元ごとの練習ではnotの位置がわかっていても、いろいろな文法が混ざると迷ってしまう。疑問文も、語順が混乱したり、do・does・didのどれを使うのかわからなくなったりする。
数学でも似たことがあります。
分数を含む方程式では、等式の性質を使って両辺に最小公倍数をかけて分母を払います。
ところが、文字式の計算でも分母を払ってしまう。
小数が出てくると、方程式ではないのに10倍、100倍して整数にしてしまう。
「この形が出てきたら、こうする」と手順だけで覚えていると、違う種類の問題でも同じことをしてしまいます。
単元ごとの問題ができることは、もちろん大切です。
そこからもう一歩進んで、
「これは何を使う問題なのか」
「なぜ、この解き方をするのか」
を自分で考えられるか。
定期テストや模試、入試では、そこまで求められます。
自分の名前は、どうやって書けるようになった?
生徒に、
「自分の名前を、どうやって漢字で書けるようになったか思い出してみて」
と話すことがあります。
最初から書けたわけではありません。
「何度も書いて練習したよね」
と聞くと、
「うん」「たしかに」
とうなずく生徒がほとんどです。
そうやって、何度も見て、何度も書いて、間違えながら練習するうちに、いつの間にか何も見なくても書けるようになったはずです。
英単語や漢字、計算も同じです。
一度見た。
一度書いた。
一度解いた。
それだけで身につくとは限りません。
何も見なくてもできるところまで繰り返す。
今では、自分の名前を書くときに、お手本を見ることはほとんどないでしょう。
考え込まなくても、自然に手が動くはずです。
勉強も、繰り返すことで「わかる」から「できる」へと変わっていきます。
では、本当に「できる」ようになったかどうかは、どうやって確かめればよいのでしょうか。
何も見ずに「確認テスト」をしてみよう
方法は、とてもシンプルです。
いったん全部閉じて、何も見ずにやってみる。
これだけです。
英単語を覚えたと思ったら、単語帳を閉じて、日本語だけを見ながら英語を書いてみる。
漢字なら、漢字を隠して書いてみる。
数学なら、解説や途中式を閉じて、問題だけを見て最初から解いてみる。
理科や社会なら、重要語句を隠して、その意味を自分の言葉で説明してみる。
できなかったところがあれば、もう一度確認する。
覚え直したら、また閉じてやってみる。
パレットでは、授業のはじめには小テストを行っています。
ところが、英単語テストなどを、ほとんど「ぶっつけ本番」で受ける生徒もいます。
「覚えてきた?」
「覚えてきました」
「何も見ないで書けるか、自分でテストした?」
「何度も見ました」
「じゃあ小テストを始めてください」
「あれ?aだっけ?eだっけ?」
テスト本番で初めて、
「覚えたつもりだったけれど、書けなかった」
と気づくのは、もったいないことです。
テストの前に、自分でテストをしてみてください。
できなかったところが見つかったら、それは失敗ではありません。
本番前に「まだできないところ」を見つけられたということです。
そこをもう一度勉強すればよいのです。
そして、もう一度何も見ずにやってみる。
覚える → 確かめる → できなかったところを覚え直す → もう一度確かめる
これを自分で繰り返してみてください。
自分で確認テストをする習慣がつくと、「勉強したか」ではなく、「できるようになったか」を自分で判断できるようになります。
間違えたところこそ、自分の伸びしろ!
パレットでは、問題を間違えたときに、間違った答えを消さないように伝えています。
正しい答えに書き直してしまうと、あとから見たときには、
「最初からできていた問題」
のように見えてしまうからです。
どこで間違えたのか。
何を勘違いしていたのか。
途中で何を間違えたのか。
間違いを残しておけば、自分の弱点をあとから確認できます。
そして、答え合わせをして終わりではなく、もう一度自分で解き直します。
一度目にできなかった問題は、二度目にできるようにする。
二度目にもできなかったら、もう一度確認する。
さらに類題を解いて、本当にできるようになったかを確かめる。
間違いは、できれば見たくないものかもしれません。
しかし、間違えたところは、これからできるようになる「伸びしろ」でもあります。
なぜ間違えたのかを確認し、もう一度やってみる。そこには、次に同じ間違いをしないための大切な情報がたくさんつまっています。
間違えた理由や、自分が「なるほど」と思ったことは、ノートに残しておくと、あとから振り返ることができます。
ノートは書いて終わりではなく、自分の学習のために使うものです。
ノートの取り方や活用方法については、以前のコラム「自分だけの『攻略本』を作ろう~ノートの取り方のコツ~」でも詳しく紹介しています。
間違えたところをそのままにせず、「次はできる」に変えていく。
その積み重ねが、自分自身の力になっていきます。
自分が書いたノートを、ときどき振り返ってみましょう。
「できる」を一つずつ増やして、自信につなげよう
すべての教科、すべての単元を100%できるようにする。
それができれば理想ですが、誰にとっても簡単なことではありません。
苦手な教科や単元ほど、できないところがたくさん見えて、逃げたくなることもあるでしょう。
そんなときは、全部を一度にできるようにしようとしなくてもよいと思います。
まずは、
「計算は大丈夫」
「この英文法ならわかる」
「この単元の基本問題なら解ける」
「この重要語句なら説明できる」
というものを一つずつ増やしていきましょう。
基本問題だけはできるようにする。
重要語句だけは覚える。
昨日できなかった問題を、今日は一問できるようにする。
そして、
本当にできるか、自分で確かめる。
何も見ずにできたら、それは「勉強したつもり」ではなく、自分の力になったものです。
「ここは大丈夫」
「これはできる」
「これは自信がある」
そう言えるものが一つずつ増えていけば、それが次の学習に向かう自信になります。
勉強は、「やったらできるようになる」とは限りません。
覚えたら、自分でテストしてみる。
間違えたら、なぜ間違えたのかを確認する。
間違いや気づきを残したノートを、あとから自分のために使う。
そして、もう一度やってみる。
何日か空けて、本当に身についているかもう一度確かめる。
「勉強した」を、「できる」に変える。
そのために、自分で自分の「できる」を確かめる習慣を身につけてほしいと思います。
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