2027年度から、聖ヨゼフ学園は開智学園を設置法人とする「開智横浜国際(仮称)」として新たなスタートを予定しています。
前回の速報版では、学校名の変更や入試制度、学費など、2027年度から変わる点を中心にご紹介しました。
一方、今回の塾対象学校説明会で私が最も印象に残ったのは、「どのような教育を目指す学校になるのか」という話でした。
学校名が変わることは大きなニュースですが、それ以上に大切なのは、子どもたちがどのような学びを経験し、どのような力を身につけていくのかではないでしょうか。
今回は、説明会で紹介された授業や教育理念から、「新しい学び」の姿をご紹介します。
入試制度や学校名の変更だけでは見えてこない、「どんな授業が行われ、どのような力を育てようとしている学校なのか」という視点でまとめました。
「正解を教える」のではなく、「問い」を育てる
説明会では、開智学園の理事長先生のお話の中で「探究」という言葉が何度も登場しました。
探究とは、先生から答えを教わる学習ではありません。
まず、自分で「なぜだろう」と疑問を持つことから始まります。
その問いに対してすぐにインターネットで調べるのではなく、まずは自分なりの仮説を立てる。そして、実験や調査、観察を通して確かめ、最後に自分の考えをまとめて発表するという流れです。
説明会では、「AIができないことは、疑問や問いを立てること、そして仮説を考えること」という話もありました。AIを活用する時代だからこそ、人間にしかできない「考える力」を育てることが重要だという考え方です。
「おたまじゃくしは住む場所で色が変わるのか?」
説明会で紹介された探究学習の実例の中でも、特に印象的だったのがこのテーマです。
ある生徒さんは、「おたまじゃくしは住む環境によって体の色が変わるのだろうか」という疑問を持ちました。
まず、「紫外線の影響ではないか」「遺伝も関係しているのではないか」と仮説を立てます。
そして、きれいな水槽、にごった黒い水槽という環境の違う2つの水槽を用意し、何週間も観察を続けました。
1週間では変化なし。
2週間でも変化なし。
4週間経っても変化はありません。
やはり体の色は変わらないのだろうか。
それでも観察を続けると、5週間目頃から少しずつ変化が現れ、6週間後には黒い水槽のおたまじゃくしが明らかに黒くなっていたそうです。
結果だけを知るなら数分で終わります。
しかし、自分で問いを立て、何週間も観察し続けた経験は、教科書を読むだけでは得られない学びになります。
その生徒さんは、「おたまじゃくしの体の色は環境で変わった。ではカエルはどうだろうか。」という新たな問いを立てました。
ところが、夏休みにカエルになった後も観察しようと思っていたところ、おたまじゃくしに足が生え始めると、みんな逃げていってしまったそうです。
思い通りにいかないところも含めて、本物を相手にする探究ならではのエピソードだと感じました。
「マイナス×マイナスはなぜプラスになるの?」
数学でも、探究的な学びは行われています。
例えば、「マイナス×マイナスはプラスになる」というルール。
多くの人は「そういうもの」と覚えた経験があるかもしれません。
しかし、説明会では「なぜそうなるのかを説明してみよう」という授業が紹介されました。
数の変化の規則性から考える方法
(-3)×3 = -9
↓ +3
(-3)×2 = -6
↓ +3
(-3)×1 = -3
↓ +3
(-3)×0 = 0
↓ +3
(-3)×(-1)=?
ここで一度立ち止まって考えてみてください。
かける数を1ずつ小さくしていくと、積は3ずつ増えていきます。
そう考えると、答えは自然と導き出せます。
この他にも、分配法則を使って説明する方法など、複数の考え方を比較しながら理解を深めていく様子をお話ししてくださいました。
計算の仕方を覚えるだけではなく、「なぜその答えになるのか」を説明できることを目標にしている点が印象的でした。
「日本はなぜ欧米の植民地にならなかったのか?」
歴史でも同じです。
説明会では、
「日本はなぜ欧米の植民地にならなかったのか」
というテーマの探求授業が紹介されました。
まず生徒さんたちは、
「日本は遠かったからではないか」
「文化が進んでいたからではないか」
など、自分なりの仮説を立てます。
その後、歴史資料を調べると、タヒチは日本より遠くても植民地になっていたことや、当時の日本の高い識字率、欧米諸国の国際情勢など、さまざまな事実が見えてきます。
一つの答えを暗記するのではなく、資料を集めながら考えを深めていく。
このような授業は、思考力や判断力を育てることにつながると感じました。
正解を覚える授業ではなく、「なぜそう考えたのか」を大切にする授業であることが伝わってきました。
「好き」が学びの原動力になる
説明会では、「好きなことや得意なことを見つけること」が学びの出発点になるという話もありました。
好きなことや得意なことなら、夢中になって取り組めます。そして、もっと知りたい、もっとできるようになりたいという気持ちが生まれます。
その過程で、「もっと深く学ぶには知識が必要だ」「もっと理解するには数学や英語も大切だ」と気づき、自然と学びの幅が広がっていく――そんな学びの循環を目指していることが伝わってきました。
また、入学前には、自分の好きなことや探究してみたいことを考え、入学後に発表する準備をします。
さらに入学式では、一人ひとりが将来の夢や目標を語る「夢宣言」が行われます。
自分は何が好きなのか。
何を学びたいのか。
将来どのような人になりたいのか。
こうしたことを中高6年間を通して考え続ける教育は、とても特徴的だと感じました。
MYPと開智学園の探究教育が重なる
聖ヨゼフ学園では、これまで国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)の考え方を取り入れた教育を進めてきました。
説明会では、このMYPの教育を継続する方針も示されました。
また、開智学園では、日本の教育と探究型の学び、そして国際バカロレアの考え方を組み合わせた教育を目指していくことも説明されました。
「“何を学ぶか”だけではなく、“どのように学ぶか”が国際バカロレア教育です。」
「世界でトップクラスの理数教育を目指す」
そう理事長先生が力強くお話しされていました。
2027年度入試情報は今後も注目
説明会では、2027年度入試についても詳しい説明がありましたが、現時点では正式決定前の内容も含まれていました。
また、開智日本橋学園の公式サイトでは、帰国生入試出願資格確認フォームが2027年度受験予定者向けの案内に更新されています。一方で、帰国生入試・一般入試ともに掲載されている募集要項は現在も2026年度版です。正式な2027年度募集要項については、今後の発表を待つ必要があります。
個別指導Paletteでも、新たな情報が公開され次第、引き続きお伝えしていきます。
おわりに
学校名の変更や入試制度は受験生や保護者の方々にとって大きな関心事です。
しかし、今回の説明会で私が強く感じたのは、「どんな教育を受けられる学校なのか」ということでした。
自ら問いを立て、考え、仲間と対話し、答えを導き出す。
そんな学びを積み重ねることで、知識だけではなく、これからの社会で必要とされる思考力や表現力、主体性も育まれていくのでしょう。
2027年度に向けて、聖ヨゼフ学園がどのような学校へと進化していくのか。今後も引き続き注目していきたいと思います。
学校選びでは、偏差値や入試制度だけではなく、「子どもがどのように学び、どのような力を育てていくのか」という視点も大切です。今回の説明会は、そのことを改めて考えさせられる機会となりました。
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